Illustratrice japonaise basée à Paris.

読書の秋

2016年10月10日

10月に入った途端、朝晩10度を切る寒さになり、街を歩く人は冬物のコートを着ていることも少なくない。9月の下旬に、彼の従姉妹の結婚式に出席した際は、日中はよそ行きの半袖とスカート、素足にサンダルでも大丈夫なくらい暖かかった。
秋と冬が混ざって到来したみたいだ。日本だともう少し、はっきりと「秋」という季節があるから、なんだか少し物足りなく感じてしまう。夏の暑さがそれ程でもないせいもあるかもしれない。日本の蒸し暑い酷暑だと、秋の到来が本当に嬉しいものだけれど。

さて、最近の暮らしといえば、もっぱらフランス語の勉強と称して、日本の漫画が仏訳されたものを読んでいる。先月近所の図書館に行った際、日本の漫画がたくさんあることを知り、映画化で話題になっていた「アイアムアヒーロー」というゾンビ漫画を見かけ、普段ホラーは避けて通るのだが、試しに借りてみた。あらすじは聞きかじっていたので、最初のゾンビのインパクトは半減していた筈だが、それでも直視出来ないくらいには怖かった。それ以後ゾンビが出て来る頁は、出来るだけ横目でサラッと輪郭を撫でるだけにして、辞書を片手にとにかくストーリーを追っていたら、すぐに4〜5巻読み終えてしまった。そしてその頃にはだいぶゾンビ耐性も付いたようで(慣れってすごい)、直視は相変わらずしたくないが、見てしまってもそこまで尾を引かなくなった。
元々ホラーが嫌いなのは、ビジュアルが鮮明に記憶に残り、後から何度でも脳内でリバイバル出来てしまう性質がある為、一人で家で静かにしている時に、それが働き出すと困るのだ。大抵、そういう時の自分の想像が一番怖い。
でも今回は、数冊読み進めるうちに、フランス語の言い回しが目で確認出来、何度も出てくる言葉(=日常的によく使う言葉)を覚えやすいという利点が実感出来るので、怖くても先が気になって読み進められる、良い教材になってくれた。フランス語が難しい理由の一つに、耳で聞く音と、目で見る綴りとのギャップが大きいことがあると思う。音で覚えていても、実際にその言葉を目にすると驚くことが多い。聞いて話すことと、書くこととは、また一つ別のステップが必要な感じがする。とりあえず耳で覚えることが先決だろうと、綴りを気にするところまで行っていなかったので、漫画を楽しみつつ、綴りも朧げにでも、覚えて行けたら嬉しいと思っている。