Illustratrice japonaise basée à Paris.

レユニオン島

2016年12月28日

マダガスカル島の隣にある小さな島、フランス領レユニオン島へ、7泊11日というスケジュールのツアーで行って来た。団体での旅行は高校の修学旅行以来だろうか。ほとんどがバス移動で、自由な時間はあまり無かったけれど、全てオーガナイズされた旅行というのも、それはそれで楽だし、十分楽しめるものだなと思った。
 
島の一番北にある空港を起点に、内陸の山間部へも立ち寄りながら、一週間かけて時計回りにぐるりと島を一周した。泊まるホテルも、湿度が高く緑の美しい山間部の小さなホテルから、南部の街中にある都会的なホテル、北西部のプライベートビーチのある豪華なホテルと、それぞれ趣が違い、しかも段々とグレードアップして行ったので、上手に計画してるものだなぁ、と密かに感心した。
 
レユニオン島には火山もあり、景観がダイナミックなことと、透明度の高い海、そして色鮮やかで可愛らしい花や小鳥たちと、見て楽しむ要素も豊富なのと同様に、食べる物もハズレが無かった。フランス領だけにフランス式の部分はもちろんあるが、素材や味付けなどは東南アジアの料理に似ていた。ちなみに街の建物の雰囲気も、素朴で雑然とした感じが、東南アジアを思わせた。飲み物は、さとうきびで作るラム酒が特産で、どこへ行っても最初にラム酒が出てくる。これがまた度数の高いものが多く、私も夫もツアー後半には降参し、専ら果物のジュースを好んで飲んでいた。
 
レユニオン島には、クレオールという現地の言葉がある。フランス語を部分的に略したり繋げたりするような、独自の変化を加えた響きらしい。和製英語みたいなもの(パソコンとかシートベルトとか)?と夫に聞いたらそうそう、と言っていた(ちなみにフランス人の夫はこの和製英語の響きがツボにハマるようで、いつも嬉しそうに真似をする)。
領土が遠く離れた所にあって、同じ言語が通じるけれど、見た目も文化も違う人達が住んでいるというのは、不思議な感じがする。
以前ベトナムに行った時、ここに来るフランス人はどんなことを思うのだろう、と考えた。台湾に行った時、日本語を話す親切なおじさんと会って、嬉しいような、後ろめたいような、複雑な気持ちだった。
 
その国の持つ歴史が、今起きている問題の原因だとして、その認識を持ちながら、では「これから」どうするか、という形で話が進まないものだろうか。過去のトラウマに焦点を当てるフロイトに対する、今どう在るかを問うアドラーのようなアプローチというか。
南の島からパリへ戻って一週間が経った所で、またテロが起きた。こんな風に、いつ、どこへ出かけても、命の危険が隣り合わせの生活を、いつまで続けなければならないのだろう。