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ハクソー・リッジ

2016年11月14日

映画を観た。第二次世界大戦時の沖縄で、銃の携帯を拒否し、武器を持たずに従軍したアメリカの衛生兵の話。
最初、映画のあらすじを聞いた時、なるほど人の命を救う仕事をする人なら、人を傷つける道具を拒否することもあるかもしれない、とぼんやり思ったが、実際に観てみたら、そんな生半可なものではなかった。
 
自分の命が危険にさらされることには全く頓着しない様子で、傷を負った兵士を見つけては瞬時に駆けつけ手当てし、安全な場所まで運んで行く、その一連の行為を、この人はただ一人ひたすら続ける。日が暮れて、仲間達が一旦兵舎へ引き返した後(つまり身を守る物は本当に何ひとつない状態)でも、動けずにいる負傷者を探し出し、救って行く。その間、敵である日本兵に見つかる危険も常に隣り合わせで。
あと一人、神様、あと一人だけ、と祈りながら、戦場へと舞い戻って行く。
 
これが彼の戦い方なのか。人を殺すことではなく、救うことで戦っている。アメリカとか日本とか、もはやそういう括りも超え、何か大きな堪え難いものに対して、彼は全身全霊をかけて抵抗しているかのようだ。
 
こんな人が実在していたなんて、と、半ば唖然としたままエンドロールを迎えた。どこからともなく起こる拍手。でも気持ちは分かる。天晴れとしか言いようがない。信じるものに忠実に、自分を偽らず、勇敢にそれを貫き通した姿に圧倒される。彼は、人にはそれぞれの生き方があることを示す素晴らしいシンボルだと、主人公を演じた役者が述べたという記事を見た。全くその通りだと思う。この役者の表情、佇まいは、とても良く彼の純粋さや、心の強さを表していた。
戦闘シーンが余りにもリアルで、度々目を背けてしまったけれど、もう一度観たいとも思う、不思議な魅力のある映画。