Illustratrice japonaise basée à Paris.

2年半

2018年07月6日

また随分間が空いてしまった。パリは今、本格的な夏が始まった所で、夜、窓を閉め切って寝るのが厳しくなって来たけれど、日本の夏に比べればまだまだ可愛いものである。あのうだるような蒸し暑さを思い出せば、こちらの夏に文句など付けようもない。元々寒さよりも暑さに弱い方なので、気温は同じように高くても、乾燥している分だけ過ごしやすい夏は有難い。
 
あと2ヶ月で、移住して2年半が経つ。以前、埼玉から大分の別府に移った時、2年半経った所で、私は別府にまつわる本を作った。例えばもし家族や親しい友人が来るとしたら、別府の街の、どこに連れて行って何を見せたいか。結果、私のお気に入りを選りすぐった、個人的なガイドブックのようになった。
その本が完成した時に、ああ、自分の中に別府という街がしっかり根付いたんだな、と思った。
 
それに比べて、現在の自分と土地との関係はというと、パリは別府よりも地理的に大きいだけでなく、歴史的背景も色濃く複雑で、咀嚼するのに時間がかかるのは当然とはいえ、それにしてもまだ全然、自分の中に浸透していない。お気に入りがぽつぽつと見つかり始めているものの、全体的にとても距離がある。これは多分、こちらに来てから一人で出かけること自体がめっきり減って、外出時は夫と居ることが多く、常に彼を通して物事を知るという、このスタンスが影響しているような気がする。それは同時に、それだけ守られているということでもあって、良くも悪くも、今の私には必要なものかもしれない。その国の言語がきちんと理解できないということは、大の大人を子供に戻してしまう位の影響力があるから。
 
つい最近、半年ぶりに会った夫の親戚と、今までで一番ちゃんと話をすることが出来た。これくらい間が空くと、上達が自覚出来て嬉しい。少しずつ、本来の自分に戻っていくような、手足の拘束を解かれていくような、心地よい解放感がある。
私にとって「話す」「書く」ことは難しく、度々つっかえながら短い文章を繋げる感じで、まだ言いたいことの40%位しか出てこない(決まり文句を除く)。それに比べて「聞く」「読む」方は、60%位は理解出来ている気がする(一対一で話す場合)。それぞれじりじりとではあるが前進している。
 
フランス語のレベルはA1から始まり、A2、B1、B2、C1、C2と難しくなって行く。最初の滞在許可証の更新で必要なのがA1、10年の滞在許可証を申請するのに必要なのがA2、フランス国籍を申請するのに必要なのがB1である。自分はというと、恐らく今B1辺りではないかと思うので、10年のカードを申請する前に一度公式に語学レベルを証明するための試験を受けようと思っている。年末にある2度目の滞在許可証の申請では、まだ10年は申請出来ないので、来年中に受ければ良いか。なにせ試験料も結構するので、万全に準備して臨みたい所だ。